2023年10月6日金曜日

茎枯病の対策について①

2017年7月に、定植して3年目の3haのアスパラ畑全てが茎枯病にかかるという、
絶望的な状況から7年。
できる様々な対策を行なってきたので、実施したことと、結果を公表します。

目次
1.茎枯病とは
2.罹病と発病
3.ハウスの対策
4.露地の対策
5.今後の展望、良いこと、悪いこと


1.茎枯病とは

そもそも茎枯病とは、ということは割愛します。

生産者がほとんどだと思うし、生産者しか興味ないと思うので。
あの茎から枯れていく絶望的な姿を、かなり多くの人が目にしていると思います。
斑点病や灰カビ病のように、繁茂している擬葉からの病気なら、
対策は蒸れないようにすることを考えれば良いので、
それほど難しくないですよね。

茎枯病で枯れることで、株が腐ってしまいますし、
せっかく繁茂して翌年の養分になるべき親木の栄養分が根に戻ることができず、
春アスパラの収穫が激減します。

全国的には、茎枯病対策は「ハウス栽培にする」ということで、
ほぼ完了していると言ってもいいですね。
主要産地は「ハウス栽培」になることで病気が減っています。

北海道では、いまだに露地アスパラの産地が多いです。
それは、耕地面積がたくさんあることと、
ハウスを作るメリットが本州に比べて少ないことがあります。

うちやま農園では、美味しい最高のアスパラは露路でできる、
ということに確信があるので、露路アスパラをつくり続けています。

だから、茎枯病とどう付き合うかは、うちやま農園が
生き残れるかどうかと直結していると覚悟してます。


2.罹病と発病

罹病する(病気にかかる)タイミングは、ズバリ、地際から若茎が伸びている時と、
鱗片から若枝が出る時、です。

若枝が出るタイミングはほぼ毎日と言っていいですし、
致命的なダメージを与えるタイミングでの罹病は若茎なので、
若茎に対する対策がメインと言えます。

ご存知かもしれませんが、一般的に茎枯病の罹病から発病までの期間は、
1ヶ月と言われています。

若茎に罹病し、擬葉展開し始めた頃に発病する。
発病時は茎に病斑がみえるのですが、遠くから眺めていても発見できず、
畑の中を歩いて収穫するくらい近くにいないと見えません。
だから、大体発見するのが、発病から2週間か1ヶ月くらいたって、
親木自体が枯れてくる時なのです。

知らない人は、発病した時に騒ぎ始めるので、
実はその1ヶ月か2ヶ月前にはすでに罹病している状況です。

どうやって罹病するか。
茎枯れの菌は、実は飛散してますし、ほとんどは土に居着いています。
それが主に雨で増殖・活性化して、アスパラにつきます。
若茎は柔らかいので、表皮から菌の侵入を許しやすいのです。

先述の通り、病斑はすぐに現れないため、何ら問題ない成長に見えますが。
罹病から発病までの期間は、実は春の罹病と夏の罹病では発病までの時間が違い、
夏の茎枯菌が活性化している時には、数日で発病します。
若枝は夏に旺盛に出ますから、土着菌が多い時には、諦めるしかない場合もあります。
若茎であれば、夏に若茎アスパラを収穫することが、防除も兼ねるのです。

発病と罹病の関係をよくわかっていないと、
そもそも茎枯病の対策なんてできないことはお分かりいただけたでしょうか。

皆様が気付いているのは、どの段階なのか。
罹病後にいくら殺菌剤をかけても無駄です。
はっきり言えます。無駄です。
進行が早いのと、病気の根が深いので、改善することはあり得ません。
少し、進行が遅くなることは、期待できなくもないですが、
対策とは、ほぼ予防なのです。

この先は予防の話になりますので、発病後のことは、ここで少し触れます。

基本的には、発病株は抜いて圃場外に持ち出します。
病原菌の繁殖も早いですし、土着して3年くらい越冬もできますので、
発病株は持ち出しましょう。
そして、発病した株の付近は、地面と茎の残渣を焼却します。
そこまでしても菌は無くなりませんが、少なく維持することはできます。
発病後も栽培を継続したいなら、治すことは諦めて、
茎枯菌を増やさないことを考えましょう。



3.ハウスの対策

では、具体的に、事例を紹介します。

ハウス内で気をつけることは2つ。
潅水による泥の跳ね上がりを抑えることと、
発病株の持ち出し、です。

潅水に関しては、水圧を変更することで調節できます。
病気対策で点滴チューブを利用する方もいるかもしれませんが、
水分量が見た目でわかりにくいことと、
水は縦浸透しかしないことが招く結果を考えると、
できればスミチューブなどでの潅水が良いですね。

病気にかかってしまった株は、全て持ち出しましょう。
そして、防除は株元までかかる防除機で、
土も殺菌できると効果的です。
泥の跳ね上がりはある程度防げても、
表土に菌が生きていると罹病してしまいます。

これだけ?
そうです。

そもそも茎枯病の多くの原因は降雨による泥の跳ね上がりです。
それを防ぐハウス被覆は、それだけで茎枯病の対策がほぼできています。

それでも何らかの要因で菌が入り込んで、
罹病してしまっている時には、上記の対策が有効と思われます。
菌の活動を抑えつつ、生育を旺盛に保つことを3年くらい手間かけてあげれば、
ほぼ発病しなくなります。

当農園では、定植初年度に発病が見られた時、
もしくは途中で発病が見られた時に、上記対策を取ります。
そうすると、茎枯病を発病する株は、90%くらい減できるので、
3年くらいやるとほぼゼロになります。

その際に、堆肥やカニ殻を散布してキチンやキトサンを効かせることで、
さらにその効果が大きいと言われています。
うちもたまに与えます。


ここまででずいぶん長くなりました。
一旦終了して、次回、露地の対策から書きます。

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