2009年7月11日土曜日

価格破壊

これ、ダメです。
 
農協より高いから、売れないよりマシだから、趣味だから、などなど。これらの理由で野菜を大量に安く販売することは、同業者の首を絞めるだけでなく、自分にも返ってくるのです。
 
アスパラを例に、農協への販売価格1,000円/kgとすると、仲卸には1,300円、小売店には1,700円、消費者には2,000円以上。概ねこんな感じで値段が付いています。農家と消費者の間には2~4業者が入って、運送やとりまとめといった手間を掛けるために、価格が上昇していきます。
 
仮に、農協より高いからと、スーパー(小売店)に1,300円で売ったとしましょう。始めは良いかもしれませんが、売り場担当者や仕入れ担当者が代わったり、スーパーの経営環境が変化したとき、さらに安くしてくれ、もしくは他所では1,200円で売ってくれる、などという状況になりがちです。こうなると止まりません。900円で売るところも出てきます。消費者にとっては良いことだと思います。私も安くて良い野菜選びには自信ありますし。しかし、原価計算をすると、農家は赤字のところが多いです。でも正確な原価計算をしていないところがさらに価格を破壊します。さらに、いったん下がった価格は、なかなか上がりません。最悪なのは、「農協に出すより良いでしょ」などと、当初から価格引き下げを目的とした買いつけ業者がいるいことです。農協は販売の手間と選果作業を行うので、1,000円でいいんです。この手間を農家がやるなら、その分の価格も乗せて販売しないと、人件費も出ないですよ、ホント。
 
また、補助金を原価から差し引いて販売価格を設定するという、国に依存した農業経営。これも農業の振興を妨げるとともに、票田に利用され、経営能力が養われないことに繋がっているのではないでしょうか。補助金を頼りに価格を設定されると、補助金をもらえない農家は食べていけません。これも農業が産業として成長しない原因かも。自分さえよければいい、という農家は勝手すぎです。
 
談合をしろ、高く売れ、と言っているわけではありませんが、適正価格があると思います。種代、肥料代、農薬代、機械償却費、人件費(無農薬の場合は手間が掛かる分、人件費が増加する)、その他資材費、そして適正な利益を加えたのが、販売・小売価格になるべきなのです。これができる農家とできない農家で価格設定が違いますが、補助金に頼らず、事業の黒字を維持するなら、よく見かける異常な低価格野菜は無くなるはずなんですが…。
 
安く売ると、喜ばれます。でも、安く売らなくても、適正価格でも、商品が良ければ、さらに喜ばれる。そして、お客様だけでなく、農業振興にも貢献できる、と思うのです…。
 
そもそも、新鮮な野菜が一番おいしいでしょ?一番おいしいものが一番高い、これでいいのでは??

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