農水省で創設を検討中とのこと。
物事には目的がある。離農促進が施策ならば、(農水省では)目的は競争力強化。
競争力強化の目的に対する施策は、他にも多数あげられる。
集団営農に研究者などの技術者を専属させる、トップ経営モデルを踏襲させる、施設に対して補助金を出す(ソフトに出す6次産業は国内向けに経営強化なだけと思っている)、国策による強制農地集約で飛び地をなくす、農業を国営化する、補助金をゼロにして完全市場主義にする、などなど、創造力に乏しい私でもいくつかあげられる。
その中で、なぜ離農を促進して、5年間で2ha平均を20~30haにすることを選んだのだろうか。
思うに、機械化・大規模化=若手後継者多い、の現状が考慮されたのではないだろうか。もしくは、全国の農業法人協会や発言力ある農協から、機械化・大規模化の成功例が多いことが訴えられたのでは、とも思う。平均をとる、という意味では間違いとも言い切れないのかも。10件の農家がいるとして、1件が100haもてば、他の9件が11haか。経営体系がこれだけ違うものを画一的に管理しようとすること自体が間違っている。まあ、大規模農家の競争が激化して、小規模農家が生き残りやすくなるという構図が予想できはする。
後継者が多い地域は、機械化が進んでいる地域なのだ。これは北海道では顕著だ。大規模経営で畑作であれば、後継者が入っても反収の高い作物を作る多角化で経営改善はた易い。しかし、西南団地のように反収を上げまくっている地域では、後継者が入っても後継者を食わすだけの収入を得にくいのだろう。反収が上がりきっていれば売り方の改善しかないが、畑作で反収10万円そこそこであれば、改善の余地がたっぷりあるのだ。
しかし、若い人のほとんどが機械に乗りたがって、手作業をしたがらないのが北海道農業の現状だ。経営感覚(経費計算や開発公社による土地優良貸付からくる借金など)ない若手が増えていることも問題なのに、それは無視か?大規模化でコストが下がることと競争力強化の関係ロジックに抜け漏れはないのか?若手=有望な農業人なのか?「日本の農業」とは、どこを見て行っている言葉なのか、聞きたいことは山ほどある。
そもそも、農業を産業ととらえるのか否か、農業を日本の文化と考えるのか、農業は国策にすべきか、などなど、根本的な話が示されない限り、農政には賛成できかねる。