物語が人を引き付けるという。
箱根駅伝しかり、移籍秘話やストーブリーグの舞台裏など。
農作物では、顔写真を貼るよりもよっぽど魅力的な商品になる。
ある意味ではわかるが、ある意味では反対だ。
善し悪しの話ではなく、いち意見です。
反対のというのは、安易な目的ありきの物語、すなわち、
感動させるため、商品を売るため、自分に好意を寄せてもらうための、ひけらかすという物語だ。
これは、小西由稀さんのfacebookと日経のスポーツ欄のコラムを読んで感じたこと。
箱根駅伝に惹かれる理由や、最近のプロ野球選手は人前で涙を流しすぎるというのだ。
僕もそう思う。箱根駅伝は大好き。でも3が日じゃないと観ないね。
プロ野球に関しては、移籍会見での涙は、それなら移籍しないで頑張ればいいのに、
世話になった球団の悪口を言うことないのに、とよく思う。
僕は涙脆いので他人のことは言えないけど。
感極まるのがあるのかもしれないにしても、表舞台ではない部分の物語を見せすぎて、「逆に引く」と思ってしまう。
落合さんは努力の過程は見せものではないと言わんばかりに、打撃練習を非公開にしたそうだ。めったに感情もださないし。
農業においても、物語が人を惹きつける秘訣だったりする。
でもね、苦労とか、自分の考えとか、こだわりとか、いわゆる「おもい」とかって言われるものは、こっちから話せば話すほど安っぽい気がする。
少なくとも僕は、苦労話とか過去の失敗とかを、自分から消費者に話そうとは思わない。
怠慢なのかも知れないが、聞かれれば答えます。
味覚以外にも、事前情報で味を判断する人が多くなったとも思う。
食べることを楽しむのなら、それも良いと思うし、事前情報を得て食べると、実際に美味しい。
ただ、今作ったものを正当に評価してくれるのに、過去の話、陰の話という脳みそへのスパイスは、不要ではなかろうか。