2019年3月28日木曜日

アスパラの露地栽培

ハウス栽培に対しての、露地栽培です。
アスパラは全て露地だと思っている人も、
全てハウス栽培だと思っている人も、
少なからずいるようです。
露地栽培は、温暖化と気候変動によって、
数十年前から東北以北でしか作れなくなっています。
(例外があって、広島県では特殊な方法で露地栽培を続けています。)

論点は3つです。

1.品質の違い、2.手間がかからないのか、
3.どういう位置づけで売るのか、です。

あくまで主観ですし、違う考え方の農家さんもいると思います。
参考までに。


【品質】

露地とハウスではどちらが美味しいですか?とよく聞かれます。
簡単に答えるなら「好み」です。
色々食べ比べて味がわかってきて、
「滋味」がわかるようになると、味は大きく変わって感じます。
露地は環境の変化が激しいです。
永年草であるアスパラガスは、環境にあわせて栄養価を変化させます。
常時快適な環境を作ってあげるハウス栽培に比べて、
露地は過酷な環境になるため、そこで生きるために
様々な栄養価を蓄えます。
それを滋味として感じることができると思います。
香り、雑味、旨味など、わかるほどクセになる味です。

ただ、一般的にはハウス栽培の
「柔らかくて、甘く、濃い」味が好まれます。
わかってもらえなくても、うちは露地の味を追求し続けますが、
意外と気づいてくれるお客さんは少ないですし、
ハウスものを食べたい人にわざわざ露地を食べてもらうよりも、
「美味しいハウスアスパラ」を食べてもらう方が大事だと思ってます。

太さは、必然的にハウスの方が太くなります。
風にあたらず、肥料が効きやすい環境では、
アスパラは太くなりやすいです。
最近は品種によって太さの差がでやすいので、
一概には言えません。
同一品種での話です。


【手間】

除草、施肥、風対策、培土や排土などなど、
ハウスと比べても被覆の手間がなくなっただけで、
同じように栽培上の手間はかかります。
被覆の資材と時間を考えたら経費は安くなる要素がありますが、
そもそも収穫量が少ないので、経費は薄まらず、
逆に収支が悪化します。

ハウス栽培に対して、露地は環境の変化が激しいです。
そのため、ハウスのように好きなときに水をあげたり、
寒いときに温めることが、できない。
ということは、手間をかける時間がグッと減り、
「今この作業を」という「今」が下手したらハウスの1/3くらいです。
この辺が、ハウスをやってから露地栽培を行うと戸惑うところです。
こういう部分では、ハウス栽培は露地に比べて簡単だと言えます。


【経営判断】

手間をかけない分、安く売れるのではないか、
という農家友だちの考え方に触れて、
今回この内容で書くことにしました。

露地栽培をどういう位置づけにするか、それは経営判断なのです。
近年急激に栽培面積が減っている露地栽培。
植わっているだけで、栽培していない、とも言われます。
手間かけずにとれた分売るだけだから、安くてもいいですか?
とれた分しか売れない鮮魚が、すべて安い値段で並んでますか?
土地の味が出やすいアスパラ露地栽培。
土地の味って、オンリーワンじゃない?

でも、思い通りにならないんですよ、露地栽培って。
思い描いた味、目指したい甘味・旨味、出したい風味などなど、
露地だと全然言うこと聞いてくれません。
そこが楽しくもあり、もどかしくもあり、農家の嗜好(思考)が
でるところです。面白いところです。


【最後に】

アスパラを作って何年かすると、
ハウスの人は露地を、露地の人はハウスを、
やってみようかな、と思うはずです。
上記のことがわかってて始めるのと、
わからないで始めるのとでは、対策のスピードも違うと思います。

でもね、両方つくると、本当に楽しいですよ。
アスパラの世界にようこそ、て感じです。
お待ちしております^^

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