2014年10月2日木曜日

生産?営業?

先日、農家のこせがれネットワークの代表の宮治さんとランチ。
彼にしかできない、社会的使命があると思いますので、それはそれでよろしくお願いします。

で、その時に彼と少し話したのは、農家のこせがれに営業ばかり教えないで、生産の重要性も説かないと危険なことになりはしないか、ということ。

私の考えは以下の通り。


農協に出して1,000円/kg。農協出荷は、これで終了。ここから市場や仲買の手数料、小売店の利益などが加算されて、一般のお客様には約2倍の2,000円/kgで買われていきます。


では自分でお客様に売るために、何が必要でしょうか。
・選別・箱詰め。
 選別機やそれに関わる人件費、スペース、箱(100円前後)が必要になりますね。
・出荷。
 輸送するための自動車、燃料費、輸送時間の人件費、宅配便の費用などがかかりますね。
・商品管理や経理。
 クレーム対応、変則注文への対応、請求業務や付け合わせや督促など。
・販売料
 直売所やイベントや単発マルシェへの出店では、場所代や販売手数料、そして販売するための人件費や農家が販売に行くには交通費や宿泊費が発生します。
・その他費用
 広告宣伝費、印刷物、事務作業時間の増加などなど
・時間
 自分の時間、パートさんの時間、家族の時間などなど


少し具体的に、アスパラの100kgを2,000円/kgで小売しようと考えます。
20万円ですね。
今はひと束100gで売っているので、約1,000束で、20万円。
重さを揃えて1,000束作るということは、人件費で10時間分必要です。1万円。
ヤマト運輸でも発送費用は8個なので札幌で1万円、東京なら1.5万円。
本来の生産をして農協出荷していた時の時給を考えると、
10時間だから損失はさらに1万円。
機械や設備などの減価償却分で300円/時間くらいだとして、
3,000円。
ここまでで約5万円の経費です。農協出して10万円と、自分で売って15万円。
やはり小売しようと思いますか?


注目すべきは、畑にいる時間を小売する手間に使えるかどうか、です。
両親が生産に特化し、こせがれは販売や営業に特化、という構図をよく見ます。
これ、本当にいいと思いますか?

農業は間違いなく、生産量×価格、です。
どんなに高く売っても、生産量がなければあっという間に減収です。
両親の生産技術、あなどってませんか?
実はそれはお金を払ってでも得なければならない技術ではないですか?
生産が落ち込むことでの減収を考えたことはありますか?

生産は容易く、営業は難しい。
これは全くのウソです。これまでの農家は営業をしらなかっただけ。
生産ほど難しいことはないことを知っとかないと、
バカみたいな営業で天狗になって、
気付いたら生産技術のない水呑百姓どころか、離農、
なんてことになりかねないことを警告しときたく、長々書きました。

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